TRPGの難易度 ハードルの高さというもの

TRPGはあまりにいろいろなことが出来すぎると思います。それが初プレイに至らない「敷居ハードルの高さ」ではないでしょうか。
・戦闘ゲームとして、戦略・戦術を駆使せねばならない
 D&D以来、戦闘がTRPGの華であり続けています。(一部のゲームを除く)ウォーゲームの常として、うんちくを知っていてこそという雰囲気、流行の戦略への理解、勝負の厳しさという「武道のような」近寄り難さも持っているといえます。やれば面白いのですが、興味を引くものではないかもしれません。
・正解があるわけではないので、わざと遠回りな手段や不利な行為をすることもできる。
 物語りとして後から振り返ると、「あのときのあの選択は正しかった」というよりも「あんな目にあったけど、それでこそ盛り上がった」という方が印象に残りやすいので、そういう劇的なシチュエーションになるように危険に踏み込むことができるという点。(あるいは、キャラクター的に物語的に”面白い”行動を狙い、危険を考慮しない行動もとれるという点)これは、先の「戦略・戦術」に長けていてこそその危険を越えられるというものですが、それを理解せずに無謀な行動もされてしまう可能性があるのです。リプレイの「物語的な面白さ」を真似て危険に挑むようなプレイが増えれば、システムも危険を乗り越える手助けを多くするという流れも出てきて当然でしょう。
・損得に無縁なもの
 別に演技をしてもしなくても目標達成には関わりないのです。おたく要素の娯楽に興味がない人には、キャラになりきること自体が”楽しみ”とは理解できない。しかしそれをTRPGの特性として話してしまうと誤解される可能性があります。ゲームというと勝負というのが一般の人の認識です。勝負に関係ない楽しみを示しても興味をひかないでしょう。
では、初級コースとして、どんなゲームであればいいのでしょうか。例を挙げてみます。
・初級コース
 目標:この戦闘に勝つ。
 敗北条件:パーティの全員が倒れる。
 ゲームの開始に、現在の状況に至った背景などを少し説明し、この戦闘に勝たねばならないことを理解させる。プレイヤーは、あらかじめ能力値等を決められたキャラクターを使用して、戦闘を開始する。
 
ついでに中級、上級コースも。
・中級コース
 目標:A地点からB地点に移動すること。途中での戦闘は回避してもよい。
 敗北条件:B地点にたどりつけないでパーティ全員が倒れる。
 ゲームの開始に、状況説明をする。A地点にいること、B地点の場所、B地点までのおおまかなルートを説明し、A地点から開始する。
途中のルートはダンジョンにしておく。目的がB地点にたどり着く事なので、途中での無闇な戦闘は回避することを選択できるようにする。(無論、逃げられるかの判定あり)また、ダンジョンには隠しルートがあり、それを発見すると戦闘をほとんど回避できる。
・上級コース
 目標:事件の解決。
 敗北条件:なし。
 ある事件の調査を依頼されたことを説明する。そこからゲーム開始。プレイヤーが質問しない限り、ヒントも与えない。結末が様々に分岐する可能性をもち、悲劇になってもよい。
 
初級コースは、戦闘に勝つことだけを考えればよく、「行動宣言とは、どのような発言をすればよいのか」「サイコロを振るだけでなく、考えて行動すること」を習得していくでしょう。
中級コースでは、「目標達成までのルート」「手段と効率」「話し合い」「選択の意味」を習得するでしょう。
上級コースになってはじめて今現在の一般的なTRPGのプレイになります。結末がどうなろうと、かまいません。PCの何人かが死のうと、ゲームは中断されません。事件ものでなくとも、様々な分岐の可能性を見出せるものです。物語としての要素が深まり、演技も自然に増えていくでしょう。
 
こうしてみると、TRPGがもつ「プレイの目標」や、「楽しさ」の幅の広さがわかります。
今、TRPG界には、初級や中級のシステムが必要なのではないでしょうか。


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