コンピュータRPGの構造

現在、ほとんどのコンピュータRPGのゲームシステムは、同じようなつくりになっています。
その共通性に気付くと、コンピュータRPGのゲーム進行に魅力を感じなくなってしまうかもしれません。
そんなわけで、覚悟してお読みください。

ダメージは受けるのが前提

戦闘ルールについて分析してみると、次のようになります。

  • 1回の攻撃で受けるダメージの平均、それに対してHP(ヒットポイント)が大きければ死なない。…①
  • 1回の戦闘で受けるダメージの平均よりもHPが大きければ死なない。…②
  • スタート地点(町や村)からゴール地点(ダンジョンのボスや次の町)までに受ける平均ダメージよりもHPが大きければ死なない。…③

補足として、①は、受ける平均ダメージを減らす要素として、『防御力』とか『回避力』があります。また、『素早さ』が高ければ『相手より早く行動することで、受ける攻撃回数を少なくする』という効果が期待でき、これも受けるダメージ平均の低下につながります。
②では①の補足に加えて『HP回復』があると、1戦闘の平均ダメージ低下につながります。
さらに、③では、ゴールまでに『能力回復地点』があるか、新たな『回復アイテム』の入手があると、ゴールまでのダメージ平均の低下につながります。
③は②を内包しており、②は①を内包しています。
これをもとに、『生き残りの条件』が見えてきます。

生き残り条件とレベル稼ぎ

ゲーム開発の過程で、プレイ時間を計算するにあたり、この『生き残りの条件』をもとに計算が可能になります。③の計算を、ゲーム開始からゲームクリアまで順番に計算すればよいのです。
平均ダメージに対してHPが少ないのであれば、その条件にあるようになるまで、経験値稼ぎをしてレベルアップする必要があります。
平均ダメージとHPの差がありすぎたとしてもゲーム進行には影響ありません。レベル稼ぎが多く必要になるだけです。
レベルアップに必要な経験値点数についての配分も、クリアまでの時間に影響します。もしこの経験値配分を間違っても、ゲーム進行には影響しません。レベル稼ぎの為の戦闘が多く必要になるだけです。

1つの(あるいはいくつかの)レールの上を進んでいる

コンピュータゲームは、昔はデータ容量の限界のせいであまりストーリーバリエーションを増やせなかったというのを、今もまだ引きずっています。
プレイヤーには見えないルートがあり、そのコース上を進む、すごろくのようなものですね。そして、見えない看板があり、「この先は、○○レベル以上の者以外は進めない」と書いてあるわけです。
その条件を満たすために、『小規模戦闘のミニゲーム』をして、レベルを上げるというのがコンピュータRPGの主なシステムとなっています。
ということから、コンピュータRPGは、戦闘シミュレーションゲームの範疇を越えていないということに気付きます。

コンピュータRPG=山登り

ゲームをプレイ中は、
少しレベルを上げてセーブして、ちょっと進んでみる

途中で死ぬ

セーブポイントからやり直し、またさらにレベルを上げて、装備も充実させる。

また進んでみる

今度はゴールにたどり着けた
という風になります。これは山登りに通ずるものがあると思います。
コンピュータRPGの楽しみとは、山登りの楽しみにも似ているのかもしれません。
ひとつのゲームをクリアしたら、次のゲームに挑戦する。
しかし、そうして登ってみてどの山も『初心者でも安心して登れる山』ばかりと気付いたとき、あなたは・・・

  >ウィザードリィに還る
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   ころしてでもうばいとる