アイドルマスターを10倍楽しむために その10

途中で記事を書かなくなったのは、いろいろ理由があるからです。
さて、残りの中から、特に気になった部分を重点的に、考察等を書いてみます。


23話と24話かな。やはり。
春香が目指したのは、アイドルになること。自己主張や野心もあまりないようで。それで、一度はアイドルとしての十分な成功を納めて、でも、まだ走り続けなきゃならなくて、疲れてしまったんだろう。人は機械じゃないから、自身の活動に疑問を持ち始めるんだ。これでいいのか、と。
美希が「春香は我儘だよ」と指摘する。そう、我儘なのだろう。しかし、目標を提示し、然るべき準備と説明、説得をしていたら、「我儘」なんて言われずに、共有できたかと思う。ある種、同じ苦しみを知っている千早は、春香の苦しみや目標とすることに気づいたんだよね。


努力のし過ぎを間違いであると指摘するのは難しい。美希たちは、まだまだ走れるくらいの元気があるし、あまり悩まずに進める脳天気さがある。それで、努力のし過ぎや、努力の方向性の真偽を論ずる機会がなかった。アイドルとPの両方の立場を理解する律子でさえも、数値のマジックに魅了されていたのだろう。


・俺達は機械じゃない
人間は、便利な機械を発明してきた。
『それを使えば、労働が楽になる』
、という発明。
だが一方で、
『それを使えば、もっと労働が可能になる』
とも言える。
1日100件の仕事をこなしてきたのが、機械導入で1日500件をこなせる、となったとする。
そこだけ見れば、それで良いように見えるが、人間がそれを行なっているので100件の仕事によってたまる疲労が、5倍になっているのではないか?成果は5倍だが、疲労を5分の1に縮小できているのかは別物なのだ。
また、1日を使って100件こなしていた仕事が、5分の1の時間でできたならばそれで十分として、空いた時間を使って他のことをするという戦略もあるだろう。作業員として1日をフルに使って500件こなすよりも、空き時間で新技術の勉強や、新商品の発明に充てるという、未来が広がる選択もある。


春香は飛び抜けたものを持ってはいないので、そういう疲労にも真っ先に負けてしまったのかもしれない。
人手不足と言いながら人材を切り捨て・使い捨ててきている昨今の企業と似てはいないか?


・アイドルにもいろいろある
頂点を目指すばかりがアイドルではない。20年、30年も歌手をやってる人たちは、それなりにファンを獲得済みで、そのファン向けのライブを全国で行なってまわるだけでも、十分な活動となる。彼らの新曲は、不定期に出てくるが、オリコン等のランキング上位にはほとんど出てこない。それでも、活動として十分に成功している。
なぜか。
必要とする人に、届いているからだろう。そして、必要とされる人気がきちんとあるからだね。


昨今、日本の上昇志向の限界みたいなものを論じる人が出てきている。どんなものにも、永遠に成長し続けるものはない、ということを。教訓じみた話はあまりこの記事には含みたくないのだけど、そういうのがあるのだとおもう。
日本人は、足るを知る、ということがあったはず。欲深く手に入る限りの全てを取り尽くすのではなく、自分に必要な分だけで満足し、それ以上は自然や他のものたちに、という精神。


春香は、数値の上昇だけを求めるのではなく、見つめなおすところにも気づいていたのか。それははっきりしない。でも、春香の原点らしきものを再認識するというところで自信を取り戻したのは、結果的にはそういうことなのではないか。
※21話の終わりに、小鳥さんが歌うステージが描かれた。その場所を選んだ小鳥さんも、経緯は違うかもしれないが、同様の「自分のある場所」をそこに見つけたのだろう。
※漫画版のアイマスで、佐野美心は勝負的なオーディションには参加したがらないという描写がある。彼女も、そうかもしれない。


仕事とはなんだろう。そういうことを考えられるのは、社会人になって数年してからだと思うが、学生の人たちも、未来を考える機会かもしれない。
いや、娯楽だからそんな重く考える必要はないんだけどね。
でも、人は、映画や小説をきっかけに生き方を考えることは多いようで、それがきっかけで人生が変わったという話も結構ある。だから、もし、心に引っかかったなら、考えてみてもいいと思う。


あ、これまで書いてきたアニメアイマスについての記事は、ひとまず終わりという感じで。ありがとうございました。
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※※おまけのはなし
ゴールのない、終わらないマラソンに気づかずに走り続けるのって、ソーシャルゲームとも似てるね。モバマスは、そういう意味でも、それらしい、とも思う。
いつ、気づいて、走るのをやめるか。
走りたい人は、走っていいと思う。
だが、ダメになるまで走っては、イカンだろう。


そうだな、黒井社長は、その終わらないマラソンの破壊を望んでいるのかもしれない。彼自身が破壊者となって。終わらないマラソンを終わらせるには、そのマラソンを続けるに値しないほどの圧倒的なトップが出現すればいい、ということかも。それで走り続けられる機械のようなアイドルを、『駒』のように扱っても耐えられる者を欲しているのか。


参考:「それは血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」 by諸星ダン