さらばラグオル パイオニア2再出発

ラグオル到達より6年が経過した。惑星の調査も進み、もう調べることも少ない。パイオニア2上層部の決断は、「ラグオルには住めない」というもの。
イオニア1の原因不明の爆発事故について、不明のままであるし、その調査に向かった者たちもかなり行方不明になっている。これらの不安が――また同様に爆発が起きたらという不安――取り除けないまま、ラグオルに降下することはできない。それはもうラグオル到着から1年程度でわかっていたはずだ。それがなぜ6年も留まっていたのか。


一つは、行方不明の調査のため。パイオニア1の人々の中には、生き残りが発見されていない。しかし、せめてパイオニア2から調査に向かった者たちさえ帰ってくればとの思い。
しかし、もうひとつ、ラグオルへの期待があったためというのがある。やっとたどり着いて、先行したパイオニア1とともに移住することができるという期待があった。まだ、もしかしたら住めるところなのでは、という希望があった。その希望を可能にするには、パイオニア1の生き残りが見つかることが必要だったのだが・・・。


決断の時は来たのだ。ここからもっとも近い候補、パイオニア8の向かう航路に合流することになった。
ささやかなパーティが開かれた。それは出航を祝うのでもなく、ラグオルとパイオニア1、行方不明者との別れの会であった。
さらば、ラグオル。さらばパイオニア1。さらば、娘よ。
メッセージはパイオニア1に送信され、残された。
出航し、ラグオルから離れる際、惑星が、娘の笑顔に見えた。


――このエントリーはフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません