シナリオとルール

RPGはゲームです。ですからルールがあります。そして、シナリオがあります。『やっぱりRPGが好き!』にものっているのですが、シナリオを重視するか、ルールに厳密にするか、それはマスターそれぞれの判断というところです。このことは『やっぱり〜』に詳しく書かれているのですが、今回はコンピュータRPGについて書いてみます。
☆ルールはこうだ!
コンピュータRPG(以下cRPG)では、用意されたシナリオはたいてい一つのものです。一本道です。ハードの性能や仕組みのせいだけでなく、プレイヤーの行動に臨機応変に対応したシナリオ分岐などを用意するのは到底無理です。頑張って分岐個所を増やしても、ある部分では我慢してもらうしかなくなります。
このため、シナリオの多様性、自由な展開を諦め、ルールの方を面白くする手法がとられます。コンピュータは複雑な計算も平気です。TRPGではできないことをやろうというのです。
☆レッドカード
cRPGではルールから外れる行動はできません。高い山は乗り物がないと越えられません。川も渡れません。同様に、データに用意されていないことはできません。データにない限り、ポーションを飲み終わったあとのビンを集めることはできません。ビンを武器にもできません。ポーションは飲んだらビンもなくなるものです。これもルールの一部といえます。用意されていない都合をルールとして行動を制限しています。
☆ドラマ
cRPGのルールは、時折りウソの判定やイカサマが行われます。
よくある例。イベントで、プレイヤーのキャラが全滅することがあります。全滅しても、ゲームオーバーでなく、イベントが続きます。この時、戦闘でいくら頑張っても勝てないようになっています。もしルール通りにやった場合、勝ってしまう可能性があります。クリティカルの連続や、即死の魔法が発動成功してしまうと、勝てるでしょう。また、必至に回復魔法と防御魔法で攻撃に耐えながら長期戦に持ち込めば、勝てるかもしれません。ですが、このイベントでは絶対勝てません。
イカサマ?
その敵のHPが無限に設定されていたり、即死の魔法は絶対効かないようになっていたり、こちらの攻撃は全部ミスになったり、なにかの仕掛けを用意してあるのです。ルール通りではないのです。シナリオを重視したため、ルールを捻じ曲げたというわけです。
でも、これは、シナリオが一つしかないcRPGにおいては正しい方向です。シナリオに忠実に。シナリオのためにルールを変更。TRPGでも結構あるタイプのプレイでしょう。
異議あり
ところで、『シナリオのためにルールを変える』について、『やっぱり〜』では、「パーティーの全滅になりそうな時はどうする?」という例題を出しています。cRPGではどうするのでしょう?イベント以外での全滅は、ゲームオーバーです。もう一度挑戦できるのが、cRPGの特徴ですが、セーブしたところからやりなおしになります。全滅の回避、パーテーィーを救うためにルールを変えるということはされません。敵ばっかり得してますね。でもこれもRPGの楽しさの一つといえます。TRPGでは同じシナリオはほとんどプレイできませんからね。cRPGではセーブできるのが唯一の救済措置といえなくもないですが。。。
☆こうだ!
RPGとは、『細かいルールに厳密でありながら、シナリオにも忠実である』というもの。そして、『シナリオがルールより優先されている』というのが最近のcRPGの傾向です。
どうやら、RPGとは、『シナリオとルールによって作り上げられた遊び』というもののようですね。ようやく「RPGってなんだ?」の答えがぼんやり見えてきました。でもこれはRPGの骨格にあたるものです。シナリオとルール、その周辺をもう少し考えていこうと思います。