SIRENサイレン

アクションアドベンチャー

 プレイヤーは自分の分身たる人物を操作して、せまりくる敵をかわして目的地に向かう。行動はプレイヤーが判断せねばならず、リアルタイムで敵が動いているので戦略も必要になる。ただ、本当に必要な行動だけをすれば危険は最小限ですむ。それら、必要な行動を順に行っていきながらストーリーを展開してゆく。それがアクションアドベンチャー

ホラー

 プレイヤーというのは、好奇心か欲か恐怖かのどれかを与えないと動いてくれないもの。ホラーゲームは、恐怖の要素をちりばめることでプレイヤーに行動をうながす。恐怖が引き金になると、人はみな同じ行動をとる。それは――逃げる!へたな情報で騙したりプレイヤーをご褒美で釣ったりといった押し付けがましいストーリーでなく、やらされ感を感じるようなことがない。逃げたいから逃げる。ホラーとゲームは相性がいい。

スタートからゴールへ

 ステージ開始時に目標が提示される。ほとんどは、今いる地域からの脱出。スタートからゴールに向かう、ゲームである。

行動の手順

アクション要素は比較的ゆるい難易度になっている。手順を追って動作すればいい。

死!

 悪いルートを選ぶと、極端に難しい。ほぼ確実に死ぬという場所がある。運が悪く死んだということはほとんどない。つまり死ぬ場所は危険とわかる。そこは通ってはいけないということ。

屍人

 敵のほとんどは、屍人(しびと)というやつら。やつらは人間より重い動作で行動する。頭も割と良く、光や音に反応してみせたり、扉を開けたり段差を上ったりする。人間ほど頭はよくないので、ギミックの用意されたステージでは、それらを使って誘導したり罠にはめることができる。

ほぼ攻撃不能

 武器がない。プレイヤーの操る人物のほとんどが武器をもたない。武器をもってもあまり強くないし、屍人は倒されても一定時間で復活する。戦うのは必要最低限にとどめる、そのために頭をつかうのがこのゲーム。

暗く狭い

 日本の家屋や田舎の風景、それらに加え、夜であったり昼間でも霧で薄暗い、手探りで進む状況が用意されている。お化け屋敷のようなもの。手探りのドキドキがこのゲームの肝。

マップ表示なし

 画面右上に現在地付近のマップが表示されるなんてことはない。別画面に切り替えて地図を見ることはできる。地形や建物の名前が書き込まれている。現在地を知るには、周りの風景を見て、地図と照らし合わせるしかない。暗いなかを手探りで怯えながら進んでゆく・・。それがこのゲームの面白さ。マップを覚えたあとは得られない要素。

幻視―――視界ジャック

 マップ表示が頼れないが、この能力で状況を把握できる。自身は目を閉じ、周囲にいる誰かの視界を借りることができる。アナログレバーの向きを変えると、その方向に誰かがいれば視界が見える。もちろんそれは生きている人だけでなく、屍人の視界でも可能。屍人がどこを見ているか・・・それはつまり、どこを通ると見つかってしまうかを意味し、攻略の糸口となる。幻視が見ている自分の後ろ姿は、死の直前の風景となることもある。。

二度目の行動目標

 同じステージをまたやらねばならなくなる。しかも、今度はわざわざ大変なルートに向かわねばならない。一度目では使わなかったアイテムが、ギミックが、役に立つ。この第二目標の達成が別のステージでの行動に役立つことになっている。

第二目標達成による分岐

 このゲームにおいて、ある特定のステージまで到達すると、どのステージも選択できるようになる。そのとき、第二目標が提示されるのだが、それを達成することで関連するステージでの行動の選択肢が増えたり、ギミックが作動するようになったりして新たな分岐が発生する。

繰り返す時間と変える未来

 このゲームの繰り返しの状況は、事件に巻き込まれた人物たちの繰り返し体験の状況を表している。第二目標を達成することで未来が変わる。つまり、『悪夢のような繰り返しから逃れるために、状況を変える鍵を探して分岐を発生させ、未来を変えてゆくゲーム』ということだ。

群像劇

 登場人物は数名が操作でき、彼らの行動、運命を認識することでこのゲームの世界を認識する。認識する=恐怖が増す・・・。一人ひとりの入手する情報は断片的で意味をなさないものが多い。しかし、別の人の立場で見ると意味があるものとなる。いわゆるザッピングシステムににているが、より自然に直感的につながりを理解できることが多い。第二目標により、彼らの運命が動き、結末へと導かれる。

懐かしき昭和のにおい

 特定の年代にはわかる、というちょっと偏った要素。黒電話の回転式ダイヤルなんて、今の若い人にはわからないかもしれない。鉄板に描かれた看板、広告、町の地図・・・。

必死の努力が報われる

 特定の行動をすれば、危険は最小限にとどめることができるが、問題の解法はひとつではない。あるギミックを使えば敵を誘導して楽にやり過ごすことができる場所がある。そこで敵に襲われる恐怖から焦ってギミックに気が付かないこともありえる。そこでたまたま敵の銃の当らない場所を発見。数発撃たせてリロードにあわせて飛び出し、殴り倒す。そのすきにまんまとクリア。これが他のゲームであれば、ギミックの動作フラグが立たなければクリア不能となっていたりする。サイレンは必死の努力や偶然にさえも報いる。

リアル表現

 いわゆるリアルな・現実のようなというもの。人物・建物・置物・植物などの背景もそうだが、霧や闇の表現も秀逸な仕上がりである。ところでゲームというものはルールのもとで選択・行動の結果を評価するもの。この、ゲームとしてのルールに、リアルなグラフィックが効果的に働いているのだ。プレイヤーはゲーム画面から情報を読み取り、判断し、行動する。その読み取るべき情報に制限をかけ、なおかつ余計な情報を増やすことで混沌とさせている。プレイヤーにとってはクリアな画面で操作したほうが楽であろうに、難易度をあげている。SIRENというゲームのルールでは、MAP表示がなく、残りの体力も表示されず、見づらい闇の中を、非力な棒のみあるいは武器なしで、足手まといの人物を連れて、死なない敵をどうにかして回避し、目標に辿り着かねばならない。これほどに制限・障害を用意しても楽しいゲーム。それがSIREN

覚えること・理解すること=恐怖を克服すること

 目標の達成に必要なものはごくわずかであり、それを見つけ・使い道を理解するまでは、何度となく死を繰り返す。そうしていくうちにSIRENというゲームのルールが把握できていくのだが、それは恐怖に怯えながら楽しむという『初プレイ時の楽しみ』を失うのと引き換えのものである。

一人より皆で

 怖い話は皆で話すともりあがる。それは、怖いながらもその恐怖を紛らそうとにぎやかになるから。SIRENも同様、プレイヤーはひとりで恐怖に対抗するのでなく、ギャラリーがリアクションをとってくれるのを聞きながら楽しめる。SIRENを知らない友達がいたら、ぜひ接待を。まずは学校で校長との鬼ごっこなど見せてはいかが・・・。
SIREN

SIREN2

続編ではあるが、舞台を替えて恐怖が再びやってくる。新たな敵、闇人とは?期待が膨らむ新作SIREN2を待て!